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相続預貯金をめぐる法律問題 この預貯金は誰の物?名義預金の問題について

1 はじめに

 相続をめぐる紛争の中でも、ほとんどの被相続人は預貯金を所有しています。そのため、預貯金についても相続で問題となることがあります。今回は、名義預金の問題についてコラムにまとめてみました。

 なお、当事務所の相続問題の解決事例については、以下のリンクをご参照ください。

相続問題

2 名義預金とは

 被相続人の所有していた財産は、原則として全て遺産になります。

 では、被相続人がお金を出捐していて実質的には被相続人が口座の所有者といえるが、口座の名義が第三者になっている場合はどうでしょうか。

 第三者の名義となっているため、一般的に「名義預金」と一般的に言われています。

 これは、定期預金と普通預金で考慮する要素が変わってきます。

3 定期預金の場合

 定期預金の場合は、口座名義にかかわらず、預金の出捐者が預金者であると考えられます。

 詳細は割愛しますが、最高裁判所の判例では、「金銭を横領し自己の預金とする意図で無記名定期預金をしたなどの特段の事情の認められないかぎり、出捐者をもつて無記名定期預金の預金者と解すべきである」としています(最高裁判所昭和48年3月27日)。

 このように、預金の出捐者が誰かというアプローチを取っていると考えられます。

4 普通預金の場合

 普通預金の場合は、金銭の出捐者が誰かというアプローチは取っていないと考えられます。

 事案は少し相続とは異なりますが、最高裁判所の判例では、口座の開設者、口座の利用目的、通帳及び銀行印の管理者等を検討したうえで、預金者を判断しています(最高裁判所平成15年2月21日)。

 ただし、この最高裁の判例は事例判断であり、基本的には預金の出捐者が誰かというアプローチを取っているとの指摘もあります。

5 まとめ

 名義預金が遺産分割の対象となるかどうか、争いがある場合、最終的には遺産確認の訴えを提起する必要があります。被相続人としては、第三者名義の預金口座を残しておくのは避けた方がいいですね。

 相続の関係でお悩みの方は、木村幸一法律事務所までご相談ください。

 

 

 

 

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