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【労働】これって損害賠償請求できる?不当解雇と損害賠償

1 解雇無効

 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする(労働契約法16条)と定められています。不当解雇や解雇無効については、様々解説されていると思います。

 では、解雇無効を理由として、不法行為に基づく損害賠償請求ができるのでしょうか。以下の、小野リース事件が参考となります。

 

2 小野リース事件

 (1) 事案の概要

 この事案は、解雇された原告が、本件解雇は客観的で合理的な理由を欠き、社会通念上、是認し得ず、民法上違法であるとして、被告に対し、不法行為に基づく損害賠償を求めた事案です。

 (2) 第一審判決(仙台地裁平成20年12月24日)

 第一審判決は、以下のとおり判断して、不法行為の成立を認めました。

 「本件解雇は無効であるし,原告は,この解雇により,被告で働くことを断念させられ,被告との労働契約を終了させることを余儀なくされたのだから,この解雇は原告に対する不法行為になる。被告には,原告に対し,本件解雇をされなければ得られたはずの収入に相当する額を賠償する義務がある。

 なお、第二審も同様の判断をしています。

 (3) 最高裁(平成22年5月25日)

 しかし、最高裁は、以下のように判断し、不法行為の成立を否定しました。

「上告人が被上告人に対し,本件欠勤を契機として本件解雇をしたことはやむを得なかったものというべきであり,懲戒処分などの解雇以外の方法を採ることなくされたとしても,本件解雇が著しく相当性を欠き,被上告人に対する不法行為を構成するものということはできない。」

 

3 まとめ

 学説では、懲戒解雇や普通解雇は、権利濫用のために無効と判断される場合でも直ちに不法行為になるわけではなく、故意・過失、損害の発生、因果関係といった成立要件を個々に検討した上で判断すべきであると考える説が多いようです

 損害賠償の請求をする際は、少なくとも上記の判例をもとに、著しく相当性を欠くという主張をする必要があると思われます。

 当事務所の解決事例は、以下のページをご参照ください。

労働問題

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